
淡路島の半農半X、たまゆら自然栽培園のモロヘイヤ
自然栽培のモロヘイヤとインド仕込みのマサラで作った「闇夜の満月カレー」誕生秘話


「闇夜の満月カレー」を食べに、淡路島へ
「闇夜の満月カレー」を淡路島でご馳走になりました。

「闇夜の満月カレー」をいただく、モロヘイヤ応援隊、永原盟千副隊長
スパイスの効いたモロヘイヤのカレーをターメリックライスでいただきます。
ゴーヤにオクラ、にんじん、パプリカなどの野菜もたっぷり添えられて、彩りもとっても綺麗。

「闇夜の満月」とは、シュールなネーミングですが、黒っぽいモロヘイヤカレーの「闇夜」に、ドーム型に盛られたターメリックライスの黄色が、なるほど「満月」のようです。
作ってくれた人は、山本玲子さん。
ここ、淡路島五色町で「たまゆら自然栽培園」を開き、自然栽培で野菜やハーブなどを栽培しています。

大正時代の能登上布をリメイクした野良着姿の玲子さん。
「闇夜の満月カレー」で使われているモロヘイヤや、ウコン(ターメリック)、クミン、添えられている野菜のほとんどは、玲子さんの自家製。
このカレーがどのように誕生したのか、淡路島の古民家を改修したご自宅で、山本さんご夫妻にお話をうかがいました。
ババジに教えてもらったインドの精進カレー
玲子さんは東京都出身。10代で始めたヨガを、もっと深く知りたいと思い、ヨガ発祥の地インドに渡ります。
インドのヒンズーアシュラム(ヒンズー教のお寺)で生活しながらヨガを勉強する一方、ババジ(僧侶)に本格的な精進カレーの作り方を教わりました。
これが玲子さんのカレーのベースになります。

ご自宅の庭に張られたタープの下でインタビュー。
ヨガ歴30年、菜食主義歴20年、今でも週に1日は断食をするという玲子さん。ここ数年は、一日一食だけ、毎日カレーを食べているそうです。
ご主人が体調を崩したこともあり、自然豊かな土地を探して、淡路島に引っ越してきて2年。自給自足を目指して始めた自然栽培の畑で収穫したモロヘイヤを使ってみたところ、玲子さんのカレーによく合いました。

たまゆら自然栽培園には40品目以上の野菜やハーブが育つ。
マサラとモロヘイヤのセットを初出荷!
インドでは一般的にモロヘイヤは食べません。そこで、玲子さんは、モロヘイヤカレーに合うマサラ(様々な香辛料を粉状にして混ぜ合わせた物)を調合してオリジナルのマサラセットを作りました。
マサラセットには「マサラシード」と「マサラパウダー」、「ターメリック」の3つの袋が入っています。

玲子さんの手作りパッケージのマサラセット。「闇夜の満月カレー」のレシピが付いています。

「マサラシード」と「マサラパウダー」、「ターメリック」。
「マサラシード」には、クミンシードとコリアンダーシード、カルダモンシードが入っていて、カレーを作るときに自分ですり潰すようになっています。こうすることで、フレッシュな香りを楽しめる美味しいカレーに仕上がります。
スパイス調合の醍醐味も体験できて楽しいですよ。
このマサラセットと、たまゆら自然栽培園のモロヘイヤをセットにして、「闇夜の満月カレーセット」として、今年の夏、初めて出荷。京都にあるオーガニック野菜の八百屋「オーガニック・ベジ・アネックス」で販売しました。

オーガニック・ベジ・アネックス(京都市左京区)

たまゆら自然栽培園でモロヘイヤを収穫する玲子さん。
ゲストハウス「ゆるる」が、京都市から表彰される
玲子さんとご主人の亮太さんは、旅人カップル。過去10年間に40カ国も旅してきました。
世界中の国を訪れ、多くのものを見聞きしてきたお二人ですが、お子さんができたのを機に日本に戻り、亮太さんは8年前、京都にゲストハウス「ゆるる」をオープンしました。
今年は新型コロナウイルスの影響で、苦戦しているものの、昨年までは、ほぼ100%満室という状態を維持するほど、経営は好調なのだとか。
亮太さんのゲストハウスは、築100年近い「町家」を借りて、リフォームしたもの。
まだ「ゲストハウス」という言葉も国内ではほとんど知られていなかった15年ほど前、有り金を全部投入して自分自身で改装を行い、バックパッカーでも泊まれるようなリーズナブルなゲストハウスをオープンしました。
賭けのように始めたゲストハウスでしたが、事業は順調に回り始め、新しい京都の町づくりのパイオニアとして、その後、新しく町家を改装する人たちの相談を受けたり手伝ったりしてきました。
そういった功績が認められ、ゲストハウス「ゆるる」は、2018年度の「京都らしい宿泊施設」として、名だたる京都の宿泊施設と肩を並べて京都市から表彰されています。

「京都らしい宿泊施設」表彰式会場にて、門川大作京都市長と記念撮影。
淡路島の「半農半X」第一号
亮太さんは、農業とゲストハウス経営で、兵庫県が認定する「半農半X」の淡路島での第一号(兵庫県では二人目の認定)。
「半農半X」とは、最近注目されているライフスタイルで、家族が食べる分の食料は農業でまかないつつ、好きな仕事や他のやりたいことにも十分な時間を使う暮らしをそう呼びます。収入が減っても、心豊かな暮らしをしたいと願う人たちから支持されています。

玲子さんも、農業の他に、古着の着物をリメイクした野良着などを製造。それらを販売する通販サイト「野良着とアンティーク着物の通販 たまゆら」を運営しています。その他にも、ヨガを教えたり、草木染めを手がけていたり、とっても多才です。
家族がいるから、頑張れる
亮太さんが、京都でゲストハウスを始めたのは15年前ですが、実は3年で一度閉店し、再び海外へ旅に出たという経緯があります。その後、8年前に再度ゲストハウスに挑戦したのです。
今回「半農半X」の淡路島第一号と認定され、継続して頑張れているのは、子供ができて、「稼いで育てていかないといけない」という自覚が生まれたことが、理由の1つだそうです。
たまゆら自然栽培園のブログには、自然豊かな環境で、のびのびと育つお子さんたちの素敵な写真がたくさん掲載されています。



淡路島五色町にゲストハウスを
お二人の次なる計画は、たまゆら自然栽培園の収穫量を増やすことと、ご自宅敷地内に、ウッドデッキ付きのゲストハウスを作ること。
小高い場所に位置するご自宅の敷地からは、田んぼの広がる田園風景が一望できます。その景色の良いウッドデッキでは、バーベキューを楽しめるようにするのだそうです。たまゆら自然栽培園で収穫したばかりの野菜などのバーベキューと玲子さんのカレー、最高でしょうね。
完成を楽しみに待っています。
