
常のモロくんも登場!宮城屈指のモロヘイヤの町、大郷町の取り組み
まるでモロヘイヤまつり!?第8回 おおさと夏まつりに行ってきました。

宮城県大郷町は仙台市から車で北に約30分。水田や畑に囲まれ、のどかな田園風景が広がる美しい町です。
ここが実は国内有数の「モロヘイヤの町」。30年も前からモロヘイヤの普及に取り組んでいるというから筋金入りです。そんな大郷町のモロヘイヤづくしの夏祭りを取材に行ってきました。


この日は30度を超える真夏日でしたが、多くのテントが立ち並ぶ会場には大勢の人が集まっていました。特設ステージでは、大郷中学校吹奏楽部の演奏で、オープニングセレモニーが華々しくスタート。

開会の挨拶やご来賓の祝辞の後は、89ERSチアーズのパフォーマンスや、あきらちゃん&ジャンプくんのあそびうた、仙台・明成高校の和太鼓演奏、地元大郷町の田植え踊り「羽生田植踊」の披露、TBCラジオの公開放送など、盛りだくさんの内容です。
一方、会場のテントに目を向けると、のぼりや看板に「モロヘイヤ」の文字が。モロヘイヤを使った地元グルメ、ありそうです!
まずは「常のモロ餃子」に直行
まずは、(株)おおさと地域振興公社が販売する「常のモロ餃子」に直行。
「常のモロ餃子」は、地元産モロヘイヤを使った「ヘルシーモロヘイヤ」と、同じく地元産のキクイモを使った「モチモチキクイモ」の2種類。そう、実はキクイモも大郷町の特産品なのです。
どちらも美容と健康にいい健康野菜です。迷わず両方購入しました。

常のモロ餃子のブース

手前が「モチモチキクイモ」、奥が「ヘルシーモロヘイヤ」
(株)おおさと地域振興公社は、「道の駅おおさと」や、農業体験のできる宿泊施設、パストラル「縁の郷(えにしのさと)」などを運営する第三セクターです。
「縁の郷」にあるレストラン「最呂部居屋(モロヘイヤ)」にも、地元産のモロヘイヤやキクイモを使ったメニューがたくさんあるそうですが、今回、スケジュールの関係で取材は断念。また次回、訪問させていただきたいと思います。
ところで「常のモロ餃子」の「常のモロ」って何でしょう?

「常のモロ」は、大郷町観光PRキャラクター。本人(?)にインタビューしていますので、この後のインタビューもお読みくださいね。
餃子は、とっても美味しかったモロ!
(常のモロ餃子は、道の駅おおさとで購入できます)
アイデアいっぱいの加工連のブースへ
大郷町農産加工者連絡協議会(以下加工連)は農産物の加工を手がける、地元の主婦を中心とするグループ。大郷町でモロヘイヤの普及活動が始まったのと同じ時期、つまり30年前くらいから活動しているそうです。

大郷町農産加工者連絡協議会のみなさん
農産物があっても、食べ方のアイデアや適切な調理の仕方がわからなければ、普及は望めません。研究や試作を重ねて、モロヘイヤをどのようにしたら美味しく食べられるか提案し続け、モロヘイヤの普及に貢献してきたのが加工連なのです。
加工連ブースには、モロヘイヤ入りチヂミとモロヘイヤ入りミネストローネ春巻きが並んでいました。

焼きたてのモロヘイヤ入りチヂミ

イタリアン×中華、モロヘイヤ入りミネストローネ春巻き
春巻きには、モロヘイヤの葉がそのまま1枚大胆に入って、そのほかにも地元産の野菜が彩りよくたっぷり。美味しくいただきました。

加工連の千坂イナ子さんのモロヘイヤのハウスを見せていただきました。柔らかくて美味しそうなモロヘイヤが茂っています。
明成高校調理科によるモロヘイヤスープ試食会へ
大郷町は、今年から仙台市の明成高校と「官学連携に関する基本協定」を締結し、大郷の食の魅力アップに一緒に取り組んでいます。このモロヘイヤスープ試食会もその一環で開催されました。


明成高校調理科のみなさんは、お揃いの「宮城県産モロヘイヤTシャツ」姿で大集合。
サツマイモを植えるイベントの取材にエジプト人が来た!
モロヘイヤスープに取り組むことになったきっかけについて、明成高校調理科学科長の髙橋先生にお話を伺いました。
以前、明成高校と大郷町が企画した、インドネシアのサツマイモを大郷町の畑に植えるイベントがありました。その取材にきたのがエジプト人留学生、ハゼム・アッバスさん。
エジプトはモロヘイヤの原産地と聞いていたので、髙橋先生がアッバスさんに「エジプトではどのようにして食べるの?」とお聞きしたところ、教えてくれることになったとのことでした。偶然の出会いだったのですね!

大郷町産モロヘイヤで調理。なんとモロヘイヤの袋とTシャツは同じデザイン!
モロヘイヤスープは日本でいえば味噌汁
ハゼムさんによると、エジプトではモロヘイヤスープはどこの家庭でも頻繁に作る味噌汁のようなもの。パンやご飯と一緒に食べるのだそうです。
当初、生徒の中には初めてモロヘイヤを口にした人もいました。大郷町でも、エジプトのモロヘイヤスープは食べたことがないという方がほとんどでしたので、町の開発センターで行った試食会でも好評だったそうです。

モロヘイヤスープの試食を会場の皆さんにオススメ。私たちモロヘイヤ応援隊もお手伝いさせていただきました。
いよいよ「モロヘイヤ饅頭早食い大会」の会場へ
特設ステージでは、本日のメインイベントの一つである「モロヘイヤ饅頭早食い大会」が始まろうとしています。

ステージ上のテーブルに積み上げられたモロヘイヤ饅頭
今年は3つの村が合併して大郷村になってから65周年、大郷町になって60周年の節目の年です。
「モロヘイヤ饅頭早食い大会」は、今から5年前の2014年、合併60周年を記念して考えられた行事。1チーム4人の前に山積みされたモロヘイヤ饅頭60個をどれだけ早く食べられるかを競う競技です。60周年だから60個なんですね。

黙々とモロヘイヤ饅頭を食べ続ける猛者たちのバトル!1人平均15個を食べなければならない。


これがモロヘイヤ饅頭。道の駅おおさとで購入できます
すでに定員に達していたため、私たちは早食い大会には出場できませんでしたが、大会が始まる前に、ステージの司会の方が「神戸から応援に来てくれたモロヘイヤ応援隊のみなさんです」と、私たちを紹介してくださいました。ありがとうございます!
大郷町観光PRキャラクター、常のモロくんにインタビュー!

夏まつりでの常のモロ(つねのもろ)くんの出番は20分ずつ2回。
暑さが苦手な常のモロくんには1回20分が限界のようです。でもその20分間は会場のみんなにご挨拶、ぴょんぴょん得意のジャンプも披露して大サービスです。そんなお仕事中の常のモロくんに直撃インタビューしました。
お仕事中失礼します!変わったお名前ですが、どういう意味ですか?
大郷町にゆかりのある伊達政宗の家臣、支倉常長の「常」と、大郷町の特産品モロヘイヤの「モロ」からとったモロ。間に「の」が入っているのは、映画界では「の」が入る題名の映画は流行るというジンクスがあるらしく、ボクの名前を考えた人が、ボクが人気者になるように願いを込めて「の」を入れたらしいモロ。ボクは気に入っているモロ。
お仕事は何ですか?
大郷町農政商工課の特命係長モロ。町の観光PRが主な仕事モロ。イベントなどの行事に呼ばれたらかけつけて、会場で皆さんと触れ合い、場を盛り上げるモロ。マラソン大会にも出たモロ。
好きな食べ物を教えてください。
モロトロ丼が一番好きモロ。今日のような暑い日は、冷たいそうめんのモロトロかけもいいモロ。
立派なおヒゲにモロヘイヤの襟がすてきな常のモロさんですが、中にはどなたが入っているのですか?
ボクの中には希望と勇気がつまっているモロ!
ありがとうございました。これからも、大郷町の魅力をたくさんの人に紹介してください。

役場の伊藤さんに、おおさと夏まつりのこと、大郷町のモロヘイヤのこと、お聞きしました。

大郷町役場まちづくり政策課の伊藤義継さん
東日本大震災復興のまつりとしてスタート
おおさと夏まつりは東日本大震災の翌年から「復興」をテーマに始まり、今年で8回目になります。大郷町は幸い津波の被害はなく、家屋倒壊なども少なかったものの、やはりインフラ面ではかなりの被害がありました。復興が完了した後も町民の楽しみとして、こうして祭りが残っているのです。
栄養価の高い野菜として宮城県がモロヘイヤを推奨。
大郷では全世帯に苗を配りました
モロヘイヤは昭和63年(1988年)に宮城県から栄養価の高い推奨農産物として紹介され、大郷町での栽培の取り組みが始まりました。大郷町は東北にしては比較的温暖な気候で栽培に適しているのではないかという予測もあったようです。
当時、2,500戸くらいあった大郷町全世帯にモロヘイヤの苗を配り、育て方の講習会なども頻繁に開いていました。それから30年以上、大郷町ではモロヘイヤ栽培に力を注いできたのです。その甲斐あって、町民の間でモロヘイヤが定着、自宅でモロヘイヤを育てている人口も多く、みなさん栄養価や料理法などにも詳しいようですね。
モロヘイヤ農家の数が増えていないのが課題
道の駅にも、モロヘイヤがたくさん並んでいますが、実際には農家さんの数や出荷量は増えていないのが現状です。モロヘイヤに限らず農家の数自体が減少傾向なので仕方がないのかもしれません。町としてはもっとモロヘイヤの生産量が増えて欲しいのですが…
今年から仙台市の明成高校調理科と提携しました。モロヘイヤ調理などで若い人たちに新しいアイデアを出していただき、大郷の食の魅力アップに一緒に取り組んでいきたいと思います。
モロヘイヤ・ワンダーランド!「道の駅 おおさと」

「道の駅 おおさと」は、おおさと夏まつり会場の「フラップ大郷21」のすぐ隣にあります。ここには、モロヘイヤの加工品がずらり。
モロヘイヤの生葉や茹でて刻んだモロトロ、モロヘイヤ饅頭にモロヘイヤせんべい、スープにうどんやラーメン、お茶に味噌パン… 目移りして、お土産がなかなか決まらないほどです。
店内にはモロヘイヤうどんやモロトロ丼が食べられるレストランもあり、普段の日に来ても楽しめます。ぜひ訪れてみてください。

モロヘイヤ商品コーナー

モロヘイヤ乾麺にモロヘイヤラーメン、モロヘイヤスープ、モロヘイヤ玄米茶など、モロヘイヤ商品がたくさん!

生麺のモロヘイヤうどんとキクイモうどん

お土産に良さそうなモロヘイヤせんべい

大郷町産モロヘイヤ売り場。モロヘイヤがどっさり売られています

きざみモロヘイヤ。すぐに料理に使えて便利そう

レストラン「おおさと食堂」の看板

モロヘイヤなど7種類の具材がのった「七色モロトロ丼」

モロヘイヤうどん

冷やしのモロヘイヤうどん
※掲載内容は取材時点のものです。ご利用の際には、直接、店舗にご確認ください。
おまけ

明成高校の髙橋先生にいただいた「宮城県産モロヘイヤTシャツ」を着て、ややテンションが上がっているモロヘイヤ応援隊、ナガハラ隊長。