モロラボ × なっとう娘
夢のコラボ!なっとう娘が家庭菜園で育てたモロヘイヤで作るモロヘイヤ納豆
なっとう娘がモロヘイヤを育てている!?
今回ご登場いただくのは、納豆インフルエンサーとして活躍中の「なっとう娘」こと、鈴木真由子さん。
小さな頃から納豆が大好きだった鈴木さんが「なっとう娘」としての活動をスタートしたのは2019年。朝晩、納豆を食べ続け、これまでに食べた納豆の種類は850種類以上!今では、テレビ・ラジオへの出演やウェブメディアでの執筆、イベント参加、商品開発、通販サイト運営など、幅広く活動されています。
そんな鈴木さんが、自宅の菜園でモロヘイヤを育てているという情報を入手。モロヘイヤの生育から「モロヘイヤ納豆」の試食までの過程を取材させていただきました。
<栽培編>
【3月】モロヘイヤ播種
鈴木さんがモロヘイヤの種を植えたのは、3月30日。たまたま書店で販売されていた種を見つけて「育ててみよう」と思いついたのだそうです。鈴木さんが住むシェアハウスの大家さんが家庭菜園をやっているので、そこを使わせてもらえることになりました。
【4月】モロヘイヤ発芽
芽が出てきました。肥料は、生ごみから作ったコンポスト(堆肥)や、卵の殻、コーヒーかすなどを使用。
【5月】新芽を虫に食べられて苦戦!
せっかく出てきた芽が虫に食べられて、壊滅的な被害。わずかに生き残ったモロヘイヤを大切に育てるしかない状況に。そして、追加で2回目の播種を実施。モロヘイヤは初期生育が非常に遅いのが特徴で、発芽からある程度の大きさになるには時間がかかります。気長に見守るしかありません。
【6月】何かが違う。これは本当にモロヘイヤなのか。
生き残ったモロヘイヤの中でも、特にスクスクと育っていたものを食べてみようと収穫。ところが、茹でて刻んでみても全くネバらない!よく見てみると、モロヘイヤの特徴である、葉の付け根のヒゲが見当たらない。
この時点で、鈴木さんからモロラボ編集部に連絡が入りました。「どうやら私は、違う植物を育ててしまったようです」
調べてみると、これはどうやらエノキグサ。モロヘイヤと似ているので要注意とされている雑草のようです。企画取りやめかと意気消沈しましたが、「数日たって見てみると、本物のモロヘイヤが出てきた」と連絡が入り、一同胸を撫でおろしました。
【8月】いよいよ収穫!
7月に入って気温が高くなると、モロヘイヤはぐんぐんと成長し始めました。8月、夏の日差しの中で、青々と繁るモロヘイヤ。よくぞここまで成長してくれました!最高のモロヘイヤ納豆を作るべく、いよいよ収穫です。
<調理編>
納豆愛×モロヘイヤ愛で、夢のコラボレシピ
8月8日。ついに、モロヘイヤ納豆を作っていただく日がきました。場所は鈴木さんが活動の拠点とされている、東京渋谷の100BANCH。株式会社青粒の副社長、永原盟千さんも駆け付けてくれました。
用意していただいた材料は、立派に育った正真正銘の自家栽培モロヘイヤと、鈴木さんに厳選していただいた納豆4種。
この中から今回使用したのは、愛知県岡崎市の食品メーカー、山下食品株式会社の『納豆旨造(なっとううまづくり)』。小粒ながらもっちりとして柔らかく、味は濃いめでモロヘイヤ納豆に合うそうです。
山下食品株式会社は、平成28年の全国納豆鑑評会で最優秀賞を受賞したこともある納豆メーカー。期待が膨らみます。
調理スタート!
鈴木さん、実はご実家ではいつも、お母さんの作るモロヘイヤ納豆を食べていたそうです。鈴木さんにとってモロヘイヤ納豆は、「おふくろの味」だったんですね。
お母さんの作るモロヘイヤ納豆は、茹でて大きめに刻んだモロヘイヤを混ぜたスタイルだったそうですが、今回は、茹でたモロヘイヤをしっかり刻んで叩いて、粘りを出したバージョンでいきます。
茹でて刻み、粘りのでたモロヘイヤを納豆に合わせ、慣れた手つきでどんどんかき混ぜます。フワッフワになるまで泡立てるのが鈴木さんの好みということで、白くなるまでかき混ぜました。今回、暑い夏にもサッパリと食べられるようにと、味付けにはポン酢醤油を使いました。
モロヘイヤ納豆、完成!
ご飯にのせていよいよ実食!納豆愛とモロヘイヤ愛が詰まった、夢のコラボレシピは、たいへん美味しいと大好評でした。
モロヘイヤ納豆の栄養価は?
納豆45gとモロヘイヤ20gの栄養素を計算してみました。(日本食品標準成分表2020年版(八訂)、日本人の食事摂取基準(2020年版)から計算)
タンパク質
7.4g(納豆)+0.6g(モロヘイヤ)=8.0g
18歳〜64歳の男性の1日の推奨量の12%、女性の推奨量の16%に相当。
食物繊維
3.0g(納豆)+0.7g(モロヘイヤ)=3.7g
18歳〜64歳の男性の1日の目標量の17%、女性の目標量の20%に相当。
ビタミン類
ビタミンE:18歳〜64歳の男性の目安量の74%〜86%、女性の目安量の86%〜104%に相当。(年齢により目安量に幅がある)
ビタミンK:男女ともの目安量の241%に相当。
葉酸:男女ともの推奨量の28%に相当。
β-カロテン:納豆にはありませんが、モロヘイヤだけで1320μg。男女ともの1日の推奨量を超えている。
ミネラル類
それぞれに含まれていますが、特にカルシウムは酢を一緒にとることで、体への吸収率がアップします。今回、味付けにポン酢醤油を使ったのも良かったと思います。
納豆とモロヘイヤ、味や食感も絶妙な組み合わせですが、どちらも健康に良いとされる食材。栄養価もバッチリでした!
実は社会派、なっとう娘。
「憧れの存在であり、リスペクトしています。」
「ネバネバで臭いもきついけど多くの人を魅了してやみません。」
「栄養がある実力派です。」
「知れば知るほど好きになります。」
鈴木さんに「納豆の魅力は?」とお聞きしたところ、返ってきた言葉がコレ。完全に「人」を褒める言葉です(笑)。納豆への思い入れが尋常ではない。さすが、噂に聞く筋金入りの納豆インフルエンサーのようです。
そんな鈴木さんですが、実は社会派なのです。大学時代には、社会課題を解決するソーシャルビジネスに興味があり、そういった関係の会社複数でインターンも経験したそうです。
それがどうして、就職の道を選ばずに、フリーランスの納豆インフルエンサーになったのでしょう?
「社会課題に興味をもつ特定の人にしか届かない活動ではなく、誰もが興味を持ってくれるジャンルでアプローチするのがよいと感じるようになりました。それを実現していくには、就職よりもフリーランスが合っていると思い、決断しました。」
「そういう意味で、食は誰にでも身近なジャンル。それなら大好きな納豆で活動したら?と助言してくださる方がいて、納豆インフルエンサーとして活動を開始したのです。」
納豆で社会問題にコミット!?
鈴木さんの社会派な一面を象徴する活動例をご紹介します。
一般的な納豆の容器は白い発泡スチロールのものばかり。かさばる上に環境にも良くない。もっと機能的で環境負荷の少ない容器があってもいいのではないか?と立ち上げたのが、納豆容器の新たなスタンダードをつくるプロジェクト「natto pack2.0」です。
「東京の府中にある納豆メーカーの登喜和食品さんと開発を進め、竹紙を使ったパッケージを試作しました。竹は、放置竹林などが環境問題の1つになっており、竹をうまく利用できれば環境負荷軽減に役立ちます。竹紙と経木を重ねて折りたたんだ容器に挟む形で納豆を入れてあり、横のスリットを開けて、その中でかき混ぜられるようになっています。」
この試作品は今年7月のイベントでテスト販売され、全て売り切れたそうで、残念ながら現物は見られませんでした。10月末には別のイベントでも販売する予定だそうです。
「ただ、まだクリアできていない課題があります。」と鈴木さん。
「納豆の製造方法は、大豆に菌を吹きかけ個々の容器のなかで発酵させるのですが、ある程度の保湿が必要なのです。それで現状は経木に薄いビニールをひく加工をしています。でも、最終的にはプラゼロの紙だけで作るのが目標なので、まだ試行錯誤中なのです。」
実は、natto pack2.0プロジェクトには、使いやすい環境に配慮した容器を作る以外にも、狙いがあるそうです。
「納豆パックを通して、今までの「当たり前」に疑問を持ってもらうきっかけになればいいなと思っています。納豆パックだけでなく、売れ残った納豆の廃棄問題や、大豆農家の後継者問題など、いろいろな問題に興味を持ってもらえる可能性があると思うのです。」
既成概念に囚われない、という意味では、鈴木さんが企業と一緒に進める商品開発もユニークで面白いものばかり。
Shonan Soy Studioとのコラボ開発のナットウジャーキーは、化学調味料無添加の植物性食品として、ヴィーガンにも人気のおつまみです。
また、近畿大学、株式会社エイコー食品、Mpraeso合同会社との共同で開発した納豆チョコレート「Kin Chocolate」は納豆臭さを抑えたチョコレート。乳製品を使わないので、こちらもヴィーガンでも食べられる商品です。
なっとう娘さん、今後もご活躍を期待しています。美味しい納豆を教えていただき、ありがとうございました!