
有機野菜の収穫体験ができる、千葉県流山市の「えかオーガニック農場」
独自開発の有機性肥料「えか5」と農福連携で、地球と人にやさしい農業を目指す!


都心から1時間!人気の「アドベンチャー野菜狩り」
モロヘイヤの収穫をしたことはありますか?
学校行事などの「農業体験」で、お芋掘りや稲刈りなど体験された方は多いかもしれません。でも、モロヘイヤ収穫体験は、あまり聞きませんよね。
千葉県流山市にモロヘイヤの収穫を体験できる農場があります。東京の都心から電車で1時間程度の場所にある、えかオーガニック農場の「アドベンチャー野菜狩り」です。
「アドベンチャー野菜狩り」は、農場内を探索しながら、その時々の旬の野菜をカゴいっぱい収穫できるという農業体験です。畑の中に赤いフラッグを見つけたら、そこには収穫できる野菜があるという仕組み。




モロヘイヤは、たくさんある野菜の中のひとつで、春〜秋口まで収穫できるとのこと。収穫の仕方や、野菜についての知識をもつスタッフが、いろいろ親切に教えてくれます。
この農園の野菜は全てオーガニック。無農薬なので、収穫した野菜をそのままかじっても大丈夫。自分で収穫した野菜の味は格別ですよ。
(2020年8月現在、「野菜狩り」は中止しています)
飲み水が心配で、農業を始めちゃった!?
非農家からの新規参入で、えかオーガニック農場を立ち上げた、代表取締役の小野内裕治さんに開業までの経緯を聞きました。
「飲み水が心配で…」とは、一体どういうことなのでしょう?

株式会社ECA 代表取締役 小野内裕治さん
「サラリーマン時代の平成元年、愛知県から東京都に転勤になったのですが、当時、東京都の水道水は綺麗ではなかった。川もドブの臭いがしていた。そんなある日、水道が民営化されるという新聞記事を目にし、これは大変なことになると思いました」と、小野内さんは当時を振り返ります。
この時すでに、隣の千葉県では井戸水が飲用不可でした。その原因は、田畑やゴルフ場で使われる大量の農薬と知り、農薬を大量に使う今の農業ではいけないと思うようになったのだそうです。

「循環型農業」との出会い。
そして意外な農場開業秘話。
「循環型農業」との出会いが、次の小野内さんの活動を後押ししました。農薬や化学肥料を使わず、作物の残渣(ざんさ)を発酵させた有機肥料を農地に戻して次の作物を作るという循環型の農業です。
「循環型農業が普及すれば、地下水がきれいになり、飲み水もきれいになる」と小野内さんは思いました。
その後、循環型農業に最適と思われる有機性肥料を開発し、その肥料を広めるための会社、株式会社ECAを設立しました。
「ECA」は、Earth Clean Associate の略。地球をきれいにしようというミッションから付けた名前です。
そしてその有機性肥料こそ、現在えかオーガニック農場で使用されている「えか5」なのです。

「えか5」の原材料を混ぜ合わせるミキサー

ハウスの中で嫌気性発酵させている「えか5」
「えか5」は、納豆菌、ヨーグルト、ドライイーストと砂糖などを使って発酵させたベースの液体肥料に、孟宗竹のパウダー、米糠、天草を加えて再度発酵させて作る、高品質の有機肥料です。
ところが「えか5」はなかなか売れませんでした。
当時は、今以上に、経済優先・生産性優先の農業が主流の時代でした。「儲からない農業」は、見向きもされなかったのです。
「それなら自分で有機農業をやるしかない」と、2007年に立ち上げたのが「えかオーガニック農場」です。

水を守りたくて有機性肥料の製造を始めた小野内さん。実は、もともと野菜はそれほど好きではなかったそうです。
ところがオーガニック農場を始めてからというもの、美味しい有機野菜をたくさん作れるようになり、今ではご自分の畑の野菜が大好きなのだとか。
農園を見せてもらいました。
モロヘイヤ畑に向かう途中、小野内さんがポキッと折ってとってくれたトウモロコシは、生のまま食べてもとっても美味しかった!

広々とした農園。永原隊長の右手にはトウモロコシが。

モロヘイヤ畑。収穫が終わったあとのため、葉は少なめ。土の色がいいですね。

モロヘイヤの栽培についてお聞きしました。

貯蔵庫にあったにんにく。

こちらは玉ねぎ。どれも美味しそうでした。

育苗用ハウス。たくさんの苗が育っていました。

農園の脇にあったピザ焼き用の石窯。
50人中 47人は、何らかの障害がある人。
えかオーガニック農場では、50人の作業員のうち47人が何らかの障害を持つ方々です。
株式会社ECAは、もともと障害者の就労訓練も行っていましたが、農場に障害者の方たちを受け入れるようになったのは、小野内さんが、農林水産省の人材開発部から、「農福連携」について相談を受けたことがきっかけです。
知的障害のある方は根気の要る農作業に向いている方が多いことから、そういった方々が人手不足の農業の担い手になるのではないか、という話です。
試しに畑作業をお願いしたところ、全然問題なくやっていただけたこと、そして何より、本人たちも作業を気に入ってくれることが多いことなどから、積極的な採用に踏み切り、今も東京、千葉、埼玉などから多くの実習生を迎えています。
この日もたくさんの人たちが働いており、私たちが近くを通ると、笑顔で「こんにちは」と声をかけてくれました。

事実、皆さん作業が大好きで、雨が降って作業ができないと、とても残念がってくれるのだそうですよ。
主に障害者施設からの紹介などで採用されているそうですが、働きがいを感じられる職場は大人気。就職希望者が多すぎて、今では簡単に採用されないくらい難関になっているそうです。
えかオーガニック農場の野菜は、アドベンチャー野菜狩りで出る以外は、近隣のコンビニエンスストア6店舗で販売しています。年内には17店舗に増やすのが目標だとか。


今後とも、美味しくて安全な野菜を作り続けてください。
