モロヘイヤ効果研究所
モロヘイヤ解体 栄養コラム

監修:管理栄養士 平井美穂先生

モロヘイヤ解体 栄養コラム
管理栄養士 平井美穂 先生
管理栄養士 平井美穂 先生

第8回

<カルシウムと骨の話 ②>

牛乳だけではダメなワケ

カルシウムは吸収率が低いのが弱点

「毎日牛乳を飲んで気をつけていたのに、骨粗しょう症になってしまった」という話を時々耳にします。

確かに牛乳はカルシウムが豊富ですが、カルシウムは吸収率が低く、成人で25〜30%と言われています。十分摂ったつもりでも不足している場合があるので注意が必要です。

例えば、牛乳コップ1杯(200ml)には、カルシウムが約220mg入っていますが、牛乳のカルシウム吸収率は約40%なので、取り込めるカルシウム量は88mgです。牛乳だけで必要量を補おうとすると、必要量650mgとしても、毎日7杯以上の牛乳を飲まなければならない計算になります。

牛乳をそんなに飲むのは至難の技ですよね?

乳製品に偏りすぎると過剰摂取の弊害も

牛乳や乳製品のような動物性タンパク質を過剰に摂ることによる弊害も心配です。健康な状態では弱アルカリ性に保たれている血液が、酸性に傾いてしまうのです。

血液が酸性に傾く状態をアシドーシスといいますが、呼吸が浅くなる、血圧低下、ショックや不整脈、頭痛、昏睡などの症状が出ることがあり、危険です。

この危険を回避するために、体は一生懸命、骨からカルシウムを溶かして血液中に送り込み、中和しようとします。それによって、骨がどんどん脆くなる可能性があるのです。

「骨のために」と飲んでいる牛乳なのに、かえって骨が脆くなる危険もあるということです。

これがさらに進むと、アレルギーやリュウマチなどの自己免疫疾患のリスクを高めることもあります。

カルシウムはいろいろな食品から摂りましょう

カルシウムは、乳製品だけでなく、大豆製品や魚介類、野菜など、いろいろな食品から摂ることをおすすめします。

カルシウムはいろいろな食品から摂りたい

野菜の中では、モロヘイヤ、小松菜、チンゲン菜、菜の花などの緑黄色野菜にカルシウムが多く含まれます。積極的に摂るようにするとよいでしょう。

<カルシウムの豊富な食品例>

牛乳 コップ1杯 200g
220mg
わかさぎ 4尾 40g
180mg
ししゃも 50g
180mg
モロヘイヤ(茹で)1鉢 80g
136mg
小松菜(茹で)1鉢 80g
120mg
しじみ 50g
120mg
木綿豆腐 1/2丁 130g
111mg
ヨーグルト 1カップ 80g
96mg
ひじき(茹で)1鉢 80g
77mg
納豆 1パック 55g
50mg
切り干し大根(茹で)1鉢 80g
48mg

*日本食品標準成分表2015年版(七訂)より

吸収率の低いカルシウムですが、実は、他の栄養素と一緒に摂ることで吸収率をあげることができます。

次の<カルシウムと骨の話3>では、カルシウムの吸収率を高める栄養素について解説します。

平井美穂

管理栄養士

平井先生のひとことコメント

平井美穂

十分に摂りたいカルシウムですが、残念なことに腸管で吸収される率は高くなく、骨ごと食べる小魚などでも約30%、野菜は20%弱と言われます。

吸収率も考え、十二分にカルシウムは摂らねばなりませんね。

牛乳は吸収率の高い食品ですが、摂り過ぎると乳脂肪の摂り過ぎにつながることも心配です。

また、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり、腹痛、下痢を起こしたりする体質の方も少なからずおられますので、そのような方はヨーグルトやチーズをお試しください。

牛乳に限らずカルシウムを多く含む食品は常に買い置きし、摂る時間帯を決めたり、こまめに摂れるよう常備したりすることをおすすめします。

例えば朝食には牛乳やチーズ、きなこを摂る、1日1回は魚や納豆を食べる、サラダや茹で野菜にはちりめんじゃこを添える、おやつにはヨーグルトを摂る、緑黄色野菜は茹でておき、切り干し大根やひじき、しじみ、大豆の入った常備菜を作り置くなど。

栄養のバランスも考え、多彩な食品からカルシウムを摂ることが大切です。

PROFILE

管理栄養士・平井美穂

監修:平井美穂(ひらいみほ)

管理栄養士 / 食物栄養学修士 / 調理師 / NPO関西ウエルネス研究所理事

平井外科胃腸科クリニック(神戸市東灘区岡本)、その他透析病院等を含め医療機関にて栄養指導を行う。
百貨店・食品メーカー講師、レシピ提案など、乳幼児から高齢者までを対象に幅広い年齢層に対し、食と健康に関する講演会や料理講習会を行う。

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