監修:管理栄養士 平井美穂先生
第2回
<食物繊維 ①>
モロヘイヤにはたくさんの食物繊維が含まれます。
そう聞くと、今でこそ多くの人が「体に良さそう」というイメージを持ちますよね?
ところが食物繊維は、消化されずエネルギーにならないことから、以前は役にたたない「食べ物のカス」と考えられていたのです。
それが1900年代に入り、食生活と健康・病気との関係についての研究が進むにつれ、食物繊維が健康に欠かせないものであることがわかってきました※1。
そして最近では、人間にとって必須の5大栄養素と並ぶ、「第6の栄養素※2」とまで言われるようになったのです。
5大栄養素とは
炭水化物や脂質、タンパク質は消化酵素で分解され、小腸から体に吸収されます。
それに対し、食物繊維は、消化されないので小腸を通過し、大腸まで到達します。
これがまさに食物繊維ならではの特徴。
大腸に到達した食物繊維は、便の量を増やしたり、腸内細菌を増やす材料になったりと、腸内環境の改善に役立っているのです。
そういった様々な働きにより、食物繊維は便秘予防や、整腸作用だけでなく、血糖値の上昇を抑える、コレステロール濃度を下げるなど多くの作用を持ち、私たちの健康にとって欠かせないものであることが明らかになりました。
これが、食物繊維はエネルギーにならないにもかかわらず、「第6の栄養素」と呼ばれる理由なのです。
PROFILE
監修:平井美穂(ひらいみほ)
管理栄養士 / 食物栄養学修士 / 調理師 / NPO関西ウエルネス研究所理事
平井外科胃腸科クリニック(神戸市東灘区岡本)、その他透析病院等を含め医療機関にて栄養指導を行う。
百貨店・食品メーカー講師、レシピ提案など、乳幼児から高齢者までを対象に幅広い年齢層に対し、食と健康に関する講演会や料理講習会を行う。
管理栄養士
平井先生のひとことコメント
便秘や肌荒れに悩む方、生活習慣病といわれる肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症の予備軍あるいはすでに発症された方々の食事調査をすると、常々気づかされるのが食物繊維の摂取不足です。
いつでも手軽に食べられる<簡単で便利な食>は、糖や脂肪に偏りやすく、エネルギーの過剰摂取や塩分過多、ビタミンやミネラルは不足し、体内の不要なものを吸着して排出する食物繊維をほとんど含みません。
お腹はいっぱいになっても体の中はスカスカ、栄養失調の状態です。とくに、食物繊維の不足は生活習慣病につながる深刻な問題。積極的な摂取が推奨されます。
食物繊維は、野菜、海藻、きのこ、こんにゃく、芋、豆、果物などの植物性食品に多く含まれます。毎食、少しでもそれらの食材を加えて食べること。その小さな心がけが大切な健康を守ります。