監修:管理栄養士 平井美穂先生
第5回
<食物繊維 ④>
第6の栄養素とも呼ばれ、私たちの健康にとっての重要性が次々とわかってきている食物繊維ですが、実はそれとは反比例するように、日本人の食物繊維の摂取量は残念ながら減ってきてしまっています。
1950年頃までは、1人あたり1日20g超えていた摂取量が、最近では平均すると14gくらいになってしまっているようです。
背景には、食生活の変化により、お米などの穀類、いも類、豆類など食物繊維の豊富な食物をあまり食べなくなったことがあるようです。
確かに、糖質制限食が流行っていますし、おやつもスナック菓子などいろいろあり、焼き芋なんて影をひそめている感じです。調理に時間がかかる煮豆なども家庭ではあまり作らなくなっていますね。
厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準(2015年)」で、食物繊維の1日あたりの摂取目標量が初めて明記されました。
18〜69歳の成人男性で20g以上、女性は18g以上が目標量とされています。現状14gとすると、男性は6g、女性は4g不足していることになります。
20g必要と言われても、そのつど計算するのはなかなか難しいですね。
食物繊維が多い食材をなるべくたくさん摂るように心がけるだけでも、摂取量を増やすことはできるはずです。
「食物繊維が多い食物の例」を参考に、食事のメニューを工夫してみてください。
また、野菜に関しては、下の「野菜の食物繊維量比較」グラフを参照してください。
モロヘイヤが、食物繊維をとても多く含む野菜であることがわかると思います。
実際に不足していないかどうかを、体のサインでみると、「1日1回、規則的に排便があるかどうか」が目安になるようです。
PROFILE
監修:平井美穂(ひらいみほ)
管理栄養士 / 食物栄養学修士 / 調理師 / NPO関西ウエルネス研究所理事
平井外科胃腸科クリニック(神戸市東灘区岡本)、その他透析病院等を含め医療機関にて栄養指導を行う。
百貨店・食品メーカー講師、レシピ提案など、乳幼児から高齢者までを対象に幅広い年齢層に対し、食と健康に関する講演会や料理講習会を行う。
管理栄養士
平井先生のひとことコメント
食物繊維量がより多い食材、食品に置き換えると、手軽に摂取量を増やすことができます。
主食では、
・ごはん1膳(150g)の食物繊維量で比較すると、精白米では0.5gであるのに対し、胚芽米では1.2g、玄米では2.1g、麦飯にすると2.2gになります。
・パンでは、食パン6枚切り1枚が1.4gに対し、ライ麦パンでは3.4g、シリアルにすれば、1食(40g)あたり約4.9g摂ることができます。
おかずでは、
・海藻や豆、乾物が摂れる和風のおかずを選ぶ。
(一人分の食物繊維量の目安:ひじきの煮物 4.6g、五目豆 7.1g、きんぴらごぼう 3.4g、納豆1パック(50g) 3.4g)
・野菜は、生より火を通してかさを減らした温野菜や汁物でとる。
・野菜や果物は食べやすいよう皮をむいてカットしておく、茹でておく、などの下ごしらえをして常備する。
・時間がない時も、市販の蒸し豆やカット野菜、青汁や野菜ジュースを利用するなどして、毎食少しでも添えると良いでしょう。
ただし、摂りすぎると下痢や便秘を起こしたり、ミネラルの吸収が阻害されることもあるのでご注意ください。