モロヘイヤという野菜をご存知でしょうか?
夏が旬の葉物野菜で、茹でて刻むと独特のぬめりが出てくるのが特徴。栄養豊富なネバネバ野菜として人気があります。
モロヘイヤの葉は、ふちがギザギザしていて、根元にヒゲがついているのが特徴です。
まずは、植物としてのモロヘイヤの基本情報から。
モロヘイヤの学術的分類
学名:Corchorus olitorius L. (コルコラス オリトリウス)※1
和名:シマツナソ(別名:タイワンツナソ)
英名:Jew’s Mallow、Tossa Jute
分類:アオイ科※2の一年生草木※3
原産:北アフリカ、インド
分布:エジプトを中心に、キプロス、リビア、スーダンに分布。さらに現在では、広くアジア、アフリカに広がっている。
※1 コルコラスはギリシャ語のkoreo(くだす)とKore(瞳)=目の薬効に由来している。オリトリウスは「野菜畑産」という意味で、昔から野菜用として利用されていたことを示している。
※2 アオイ科はアオイのほかハイビスカスやオクラなど。モロヘイヤはシナノキ科に分類されていたが、1998年に公表された新しい分類体系(APG体系)でシナノキ科もアオイ科に含まれるようになった。
※3 一年生草木とは、1年以内に、種子から発芽して花が咲き、実ができて種子を残す植物。気候など条件が厳しい季節を種子の形で過ごし、限られた良好な条件の短期間に生長・繁殖するための適応として変化した形とされている。
モロヘイヤの原産地は、北アフリカまたはインドといわれています。日本へは、1980年代に、アラビア語の言語学者、飯森嘉助氏によって紹介されました。
それまで、日本では食べる習慣がなかったシマツナソを、栄養価の高い野菜として知ってもらうために、エジプトで呼ばれていた「モロヘイヤ」という名前で日本に紹介したのだそうです。
エジプトでは古くから食べられている野菜で、かつてエジプトの王様が病気になった時に、モロヘイヤのスープを飲んで病気が治ったという逸話もあります。
モロヘイヤが日本に紹介された1980年代は、健康ブーム真っ只中。モロヘイヤの研究により、ビタミンやミネラル、食物繊維など栄養価が極めて高い野菜であることがわかり、それがテレビなどのメディアで紹介されるや、一躍、健康野菜として脚光を浴びることになりました。
最近では、栄養成分の解析方法の進化とともに、機能性表示成分、ポリフェノール類なども新たに発見され、モロヘイヤの驚くべき栄養価がさらに明らかになりつつあります。
花には「花言葉」がありますが、実は野菜にも「花言葉」があります。
モロヘイヤの花言葉は「体力回復」。
疲労回復やエネルギー産生と深く関連するビタミンB群が抜群に豊富なモロヘイヤらしい花言葉ですね。
モロヘイヤは、栄養価が高いうえに、味に癖がなく、食べやすいのがいいところです。
モロヘイヤを使った料理といえば「おひたし」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。「おひたし」しか食べたことがない、という方も少なくないかもしれませんが、モロヘイヤは調理方法が幅広い野菜。そこも魅力です。
エジプトではモロヘイヤは刻んでとろみを出してスープにします。エジプト料理店では、ほとんどの店でモロヘイヤスープを出していると思います。
他にも、揚げ物や炒め物にも使えますし、モロヘイヤの粉末をパンやうどんなどに練りこんだ加工食品もあります。
暑い地域が原産のモロヘイヤなので、日本でも産地は暑い地域のみかと思いきや、南は沖縄から北は東北地方まで、幅広い地域で栽培されています。
最も収穫量が多いのは群馬県。ダントツです。
沖縄県も、ハウス栽培を使って通年で生産できる強みを生かし、2位となっています。
全国の収穫量(2018年):1,266t
(政府統計ポータルサイト e-Statより)
1位:群馬県 357t
2位:沖縄県 168t
3位:神奈川県 68t
4位:岐阜県 58t
5位:佐賀県 48t
6位:長崎県 47t
7位:愛知県 41t
8位:兵庫県 40t
9位:栃木県 38t
10位:福岡県 35t
モロヘイヤは、葉物野菜の中では、極めて暑さに強い野菜です。病害虫にも比較的強く、初心者でも育てやすい野菜です。
収穫期間も6月頃から10月頃までと長いので、たくさん収穫できます。プロの農家はもちろん、趣味で園芸をされている方にもおすすめの野菜です。
モロヘイヤの種とさやには強心配糖体が含まれていますので、誤って食べないように注意してください。