メタボローム解析は、医薬・医療の分野でも活用されている最新の解析方法で、生体内にどのような代謝物質(成分)が存在しているのかを解析するものです。
今回、メタボロミクスのリーディングカンパニー、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社に、モロヘイヤのメタボローム解析を行っていただきました。
モロヘイヤには、食物繊維や各種ビタミン、ミネラルなどの栄養成分が豊富に含まれることがわかっていましたが、メタボローム解析によって、今まで知られていた栄養成分以外にも非常に多くの成分が検出されました。
今回解析したモロヘイヤは、フィリピン産、エジプト産、日本産(島根県産)の3種類。検出された成分の個数は、フィリピン産397個※、エジプト産403個※、日本産331個※。共通の成分もあれば、それぞれに固有の成分もありました。
これらのうち健康の維持に有効な成分の一覧表を最後に載せています。
※メタボローム解析では解析できない、ミネラルやビタミンA(βカロテン)、食物繊維を含まない数字です。
北海道科学大学 薬学部 准教授の若命浩二先生の総評を元に、解析によって明らかになった成分の特徴をまとめます。
ステロイドは、強力な抗炎症作用や抗アレルギー作用を利用して医薬品に用いられ、副作用などもたびたび問題になっていますが、植物にはそれとは働きの異なるステロイド(植物ステロール)を有する成分が多数存在することが知られています。
モロヘイヤには、この植物ステロールが多数含まれていました。植物ステロールには、免疫調整やホルモン調整によって、体を穏やかに保つ機能がある可能性が考えられています。
中性脂肪を抑え、記憶の制度を高め、血糖値の上昇を抑える効果などが期待されるDHA(ドコサヘキサエン酸)や、血圧をサポートするクロロゲン酸が検出されました。
さらに、ストレス・緊張緩和、疲労感の軽減などリラックス効果で知られるγアミノ酸(GABA)や中性脂肪を抑えるイソロイシン、睡眠の質の向上に役立つセリン、疲労感を軽減するヒスチジン、筋肉を作る力をサポートするロイシンなど様々なアミノ酸も検出されました。
ルテオリン、レスベラトロール、カテキンなど、抗酸化、抗炎症、血流改善、アンチエイジングなどに効果があるとされるポリフェノールも、たくさん検出されました。
今回の解析試験により、モロヘイヤは、従来知られていたビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養成分に加え、いわゆる神経−免疫−内分泌に関連する「生体機能」を調節する成分が豊富に含まれる野菜であることが明らかになりました。
ちなみに、フィリピン産とエジプト産のモロヘイヤからは、EPA(エイコサペンタエン酸)や、通常カカオなどごく限られた植物にしか含まれない、多幸感をもたらす神経伝達物質のアナンダミドも検出されました。
今後は、それぞれの成分の機能性解明に大きな期待が寄せられます。